黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

再審決定の報道を見て思うこと

引っ越し&その他もろもろにかまけて、ブログがだいぶおろそかになっていた。せっかく読んでくれていた人も、きっと忘れてしまったろうな…これから、少しずつ挽回したい。
 
さて、昨日の夕刊で、1986年に福井市で女子中学生が殺害された事件の犯人として逮捕され服役もした人に対して、名古屋高裁が再審開始を決定したという報道があった。新聞だけでなく、テレビでも大きく報道されていたらしい(テレビを確認する暇がなかったので見ていないのだが)。
 
この人物は、もう46歳…逮捕された時は21歳だったそうだ。「失った時間は返ってこない。どうしてくれるのか」と語っていたというが、無理もない。捜査段階から一貫して否認していたが、一審の無罪判決の後の高裁段階で逆転有罪(懲役7年)となり、最高裁でも1997年に刑が確定したとか。今回の決定で、裁判長は、この人と「犯人とを結びつける客観的事実は一切存在しない」と結論づけている。
 
この人に関しては、報道を見た限りでは冤罪のような気がする。再審開始になって良かった、本当に。
 
こう書くと、「被害者の肩を持つんでしょう?そんなこと言っちゃっていいの?」といった反応がままあると日ごろから感じているが、それはちょっと的が外れていると私は思う。
 
冤罪疑いの例があると、被害者の反応が報道される。今回も、女子中学生のお母さんがコメントしている。「今回の結果については、遺族として何も申し上げることはありません。あの日、娘は血まみれになって殺されていました。本当に残酷でした。どんなに怖かっただろうかと思うと、今でも胸が張り裂けそうになります。生きていれば40歳になります。事件がなければ、どんな人生を送っていたのだろうかという思いがつのることがあります」と、これは読売新聞の11月30日付夕刊の社会面に掲載されていた。
 
こういった反応を見て、勝手に「お母さん、この人が無罪になってしまったら悔しいんだろうな」と、まるで誰でもいいから娘を殺した犯人として処罰したいかのような感覚を、被害者側が持っているとの理解をする人がいる。これは全く当たらない。
 
被害者側は、犯人が相応の処罰を受けることを望んでいる。でも、当然ながら、無罪の人が真犯人に代わって処罰されることなど、1ミリも望んでいないのだ。ここは間違えないでほしい、とこれまでお目にかかった被害者の方たちや支援者から聞いた。当たり前のことだ。冤罪の場合の「犯人とされてしまった人」は、自身の身の潔白が証明されることにもなるので、真犯人が捕まることを強く望んでいるだろうと想像に難くないが、真犯人を捕まえてほしいのは、被害者側だって同じだ。いや、もっと強く願っていると言ってもいいかもしれない。
 
被害者としては、捜査側が真犯人を取り逃がしていることになるので、それが悔しい。また、これは被害者の方たちに聞くまで、うかつにも私がそんなに深く考えていなかったことなのだが、被害者は悔しいだけじゃなく、怖いのだ。真犯人が捕まらないことで、口にはなかなかできないけれども、怖くて怖くてたまらないと言っていた人もいた。
 
被害者本人が生存している場合は、また再度真犯人に襲われるかもしれないという恐怖にさいなまれ続ける。遺族の側も、自分の家族が誰ともわからない人に殺されたら、家族まで何をされるのかわからない、いつ襲われるか…と恐怖感を持っていても不思議なことではない。日常生活を送ることが怖いのだそうだ。
 
別人をずっと犯人だと扱い続けてしまったことで、真犯人が今後現れても、時効撤廃以前の事件で時効が成立していたりすると、もう処罰できないことも出てくるのではないだろうか?(ちょっとこの点は今回の事件については未確認。)
 
だから、冤罪が疑われる人が再審請求をして、それを勝ち取ったからといって、まるでその人物と被害者が相対する存在のように位置づけて見るのはおかしいのだ。むしろ、真犯人を捕まえたいという共通認識を持っている存在として、社会は見てくれないか…と思う。
 
そして、「娘は血まみれになって殺されました」と語る、お母さんの悲しい気持ちに寄り添ってもらいたい。
 
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同じ夕刊を見たら、「強姦など被告『求刑60年』 静岡地裁支部 有罪判決の前後に事件」という記事があった。いったん確定判決を受けた被告が、その判決の前と後に起こした事件について(前に5件、後に4件…どんだけ他人をないがしろにすれば気が済むのか)、それぞれで量刑を分けて決めることになったことから60年という求刑になったのだという。前の5件、後の4件それぞれでは無期懲役を求刑するには至らないけど…ということで有期の求刑をした結果、併せてこんなおもしろい60年になったのだろう。
 
有期刑の最高は30年だから、もしも、最初に執行猶予をもらっている真ん中の窃盗に対する確定判決がなかったとしたら、前と後の事件はいっしょくたにされて求刑は懲役30年で終わり…じゃなくて、単に無期懲役を求刑されて終わりか…。
判決ではどのようになるのかわからないが、ぜひ懲役60年で、8掛けとしても最低でも48年ということでいってもらいたいものだ。