黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

1年前の7月、愛猫に扁平上皮癌が見つかった⑤

手術に向け、とうとう入院

 昨年の7月25日、息子クロスケは月末の手術実施に向けて貧血改善を目指し、かかりつけ獣医に入院した。さっそく翌26日には食道カテーテルが首の横に設置され、そこから栄養補給が可能になった。

 息子は黄色い服を着せられて、そのマジックテープの付いた背中にクルクル丸められたチューブ(カテーテル?)が収められていた。看護師さんはチューブの先にシリンジを器用につないで、ゆっくりと液状の食事を注入していく。

 チューブには空気が入ってはいけないし、あまり早く食事を注入してしまうと、入れられる側は吐いてしまう。簡単そうに見えるけれど、実際やると消毒やらの手順が大変そうだ。失敗したら一大事。息子の退院に際しては、私もできるようになっていないといけないのか、大ごとじゃないかと緊張して看護師さんの動作を注視した。

 そしてその日、息子は輸血ネコちゃんからいただいて輸血もした。一部途中で漏れたものの、少しは体に入った。おかげで26日を底に、輸血翌日の27日の検査結果はやや上向いた。しかし、期待したような数字には届かない。

 この27日、S先生は検査結果を説明してから、今後の見通しとして、手術前日の朝イチで血液検査をして、その結果次第で悪ければ2回目の輸血をしたいと言った。そう何度も輸血はできないとの話だったはずだが、ヘマトクリット(HCT)の値が30%に届かないと例の専門医が手術しないそうなのだ。

 そんな…あの先生、手術を渋っているのか。バイオプシーが無駄になるじゃないか。手術を見送られては、骨折した顎から内出血のあるクロスケの命が持たない。

 もし不幸にして前日に輸血してもHCT値が30%を超えなければ、終わりじゃないか。どうしたらいいのか。動揺する私に、S先生は、8月6日に専門医とは別の腫瘍外科の医師が手術できそう、その次はまた8月13日に専門医が来ることになっていると言う。

 S先生は、他の医師が執刀する可能性も探ってくれていた。助かると思ったものの、そんなところまで延ばされたら、息子はどうなるのだろう。やはり7月31日、悪くても8月6日に手術してほしいと思った。

 7/15(腫瘍確認)、7/21(バイオプシー翌日)、7/22、7/25(入院)、7/26(輸血実施)、7/27~29の検査結果を並べてみる。22日からは基準値に満たない数字が続く。

 ・赤血球数(RBC、10の4乗/ul)781.0➡779.0➡560.0➡470.0➡414.0➡498.0➡531.0➡526.0

  ・ヘモグロビン(HGB)7/15~26 10.5g/dl➡10.2➡7.5➡6.2➡5.5➡6.7➡7.1➡6.9

  ・ヘマトクリット(HCT)7/15~26  33.0%➡32.8➡23.3➡19.9➡17.5➡21.4➡22.4➡21.7

 26日の輸血以降、上向き加減かと思われた数値が29日に足踏みしたのには、前日のある騒ぎの影響があったのかもしれない。

 28日昼、しばらくしたら息子に面会に行こうと準備していた矢先、病院のY先生から電話が入った。担当のS先生ではないし、K先生でもない。なんと、クロスケの呼吸と意識レベルが低下したから、すぐに面会に来てくれと言う。

 「とうとう来てしまったか」と内心で息子を看取る覚悟をして、家族とタクシーで向かった。

 ICUにいた息子は確かに苦しそうで、呼吸が変。だが、何かを詰まらせているような様子。家族が思い切って息子の口に指を入れ、何かを引っ張り出したところ、芋づる式に透明な痰の塊らしきものが出てきて、息子は一気に落ち着いた。その後、カテーテルでのごはん注入も点滴も済んで息子は機嫌が良くなり、家族にゴロゴロと喉を鳴らして抱っこして見せた。

 本当に息子が死ぬのかと、こちらは全身が脈打って痺れるほどだった。ただただ、助かって良かった… 感謝して、帰宅した。

 翌29日、クロスケは発熱。抗生剤投与で下がったものの、昨日の帰り際の機嫌の良さは消え、苦しそう。S先生に昨日の様子を話し、またも息子がゼーゼーし始めたので吸引して痰を出してもらった。抱っこしたら、かなり疲れた様子で半目を開けて私を見た。苦しいよ、と言いたかったのか…。

 息子の様子は夜になって落ち着いたと連絡があったが、前日の窒息騒動とこの日の発熱も、血液検査の結果に影響を及ぼしたのかもしれない。

 検査のために血を取りすぎるのも、当然、貧血には良くない。採血は避けたかったが、結局、入院して以来は連日の検査。そこで、息子の貧血改善を目指し、S先生は手術前日(30日)の採血は止めてみて、2回目の60ccの輸血のみを実施した。

 その工夫のおかげで手術当日(31日)の術前検査では、息子のRBCの値はほぼ基準値の748.0、HGBは基準値下限ぎりぎりの10.0、そして懸案のHCTは基準値内の30.8を無事クリア。手術が可能なだけの数値を揃えることができた。状況をうまく見計らってくださったS先生に感謝感謝だった。

 手術ができますように、そして成功しますように…居ても立ってもいられず、30日はお不動様に願掛けに行った。後で家族に指摘されて気づくのだが、ご祈祷をしてくださったまだ若い導師は、不思議なほどS先生にそっくり。ごきょうだいですか?とお聞きしたいほど似通った顔立ちだった。