黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

1年前の7月、愛猫に扁平上皮癌が見つかった⑨

下痢の原因

 手術をしたからといって、その瞬間からきれいさっぱり問題が無くなるわけではない。特に、うちの猫息子の場合、癌がすべて取りきれたわけではなかった。QOLを優先させて、後はどこまで再発させずに行けるかどうか。体力を養い、なんとか1日でも長く平穏に一緒に暮らしたい。それが願いだった。

 それなのに、術後の息子は下痢が止まらなかった。術後2日目、下痢をしてお尻を洗ってもらってご機嫌だった日には糞便検査もしてもらったが、理由が判然としない。抗生剤で胃腸のバランスが崩れているのかもしれないと、S先生は言っていた。

 術後3日目にも、下痢が続くのか息子はおしめ姿。ICUの酸素供給がストップしたのは回復傾向だったからかもしれなかったが、口の手術痕がむくみ、鼻水や分泌液が出ているのが息子はとても気になっているようだった。

 4日目、下痢が止まらず、K先生は電話をしてきて「紅豆杉茶を与えるのをストップしたい」と言う。「水分摂取を抑えるため」とのことだった。

 でも、下痢をしていたら水分補給は大事なんじゃないのかな…副作用の話は聞いていないけれど、お茶が下痢の原因だと怪しまれているのかな…でも、冷蔵庫から出して、冷たいまま与えていたとしたら、確かにお腹には悪そうだ。

 癌の再発を抑えるために与えていた紅豆杉茶は、こちらとしては息子の命綱とも感じていたので、それを止めるのは抵抗があった。が、息子の命よりもご自身の執刀医との関係を優先して手術を渋っていたかにこちらには見えたK先生と言えど、もう手術は済んだのだし、悪いことは言わないはず…そう考えた。そもそも、息子が入院させていただいている病院の、獣医の言うことには逆らえない。

 この日面会に行くと、ちょっと喉を詰まらせて涙目になった様子を見て心配になったが、それでも、息子は全体的には回復してきているようにも見えた。

 5日目、息子の下痢は軟便程度に良くなったとのことだったが、今度は吐いてしまった。以前から朝の空腹時や排便時に吐きやすく、ガスターガスモチンが手放せない息子。入院してからずっとガスター抜きだったから吐いたのかもしれないが、吐くと体力を消耗する。心配だ。

 さらにギョッとしたのだが、口元の手術痕を盛んに気にしていた息子が、どうやったのか器用に足先をエリザベスカラーに突っ込んで蹴ってしまったらしく、出血。傷口が開くような大事には至らなかったのは幸いだったが、再手術か?!とヒヤッとした。

 当然、息子は一回り大きなエリザベスカラーをはめられることになった。

 吐いて下痢しておむつを履かされて、口元はむくんでむず痒くて、いじったら血が出て煩わしいサイズのカラーをはめられる。クロスケにしたら散々、気持ちは限界だったろう。本当に、キレてもおかしくない。

 5日目は、ちょっとでも息子を慰めたくて、抱っこさせてもらった。手術後初、自宅から息子専用の大判タオルを持参して、コード類など気をつけながら慎重に息子をくるみ、膝に乗せた。私は嬉しさでいっぱいだが、息子は嬉しそうと言うよりも、「帰りたいー、おうちに帰りたいー」と一心に私に助けを求めている。切ない。もうちょっとだ、もうちょっと頑張って、下痢が止まったら帰れるかな…と抱っこしながら言葉をかけた。

 6日目のおむつ交換では、前述のとおり、とうとう息子は堪忍袋の緒が切れてしまったということだろう。

 もしかしたら、精神的に参っているから下痢も続いているのかもしれない、とその時は考えた。まだ軟便・下痢は続いていたが、とにかく帰ろう。7日目の退院が決まった。

 下痢については退院後も続き、「流動食が合わないのかな」等々の試行錯誤を経て、9月に入ってようやくある抗生剤に起因することが確認できた。抗生剤は最初にS先生が疑っていたわけで、もっと早くに確認できれば体力が削がれずに済んだろうから、そうしてあげたかった。それから、K先生にやり玉に挙げられた紅豆杉茶は無罪だった。

 術後も正に山あり谷あり、何とか軟着陸を果たしたいとオンボロの飛行機を操っているような、戦いの毎日が続いた。