黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

扁平上皮癌になった愛猫を、天にお返しした③

ペット用防水シートが必需品になった

 本日15日が本年2021年の確定申告の締め切り日。私も毎年のことながらヒーヒー言いながら苦手な数字と格闘し、先ほど無事にポストに投函した。

 この確定申告の書類などを用意する過程で、どうしても昨年の手帳はじっくり見るし、領収書類もプリントアウトするので「あー、こんなの買ってたな」と嫌でも見ることになった。前回にも書いたような亡き息子グッズは、確定申告的にはカウント外だが、たまっていた領収書の中には息子グッズのものも混じって含まれていた。

 息子は昨年の2月4日未明に死んだが、前々日というかほぼ前日の2日には、大量のごはんが届いていた。私が1月31日に注文した品だ。

 「チャオちゅーる」はペースト状で食べてもらえるので、胃腸のことを考えて乳酸菌入りのかつお味と、とりささみ味をそれぞれ1袋。そして介護期用のペーストごはんがあると知って、有難く買い始めた「メルミル」10パウチ。これもかつお味。それから「健康缶」の「20歳からのとろとろまぐろペースト」。これを30パウチ買っていた。

 この息子ごはんは、新品のまま猫友さん達に残らず差し上げることになった。

 このほかに防水性のある「床を汚さないシート」も1袋5枚買っていた。ペット用というか「犬用」表示だったけど。

 この防水シートはとても便利、口からごはんを開始してからは必需品だった。息子クロスケが液状のごはんを自力で食べるには、どうしても盛大に周囲にはねさせざるを得なかったからだ。また、一旦口に入っても、べーっとそのまま出してしまうこともあったから。

 床の無垢材の隙間に入ってしまうと液状ごはんは容易には取れない。そのままではダニの栄養になるだけ。カピカピに乾いてからカードで削り、粉状になったところを掃除機で吸い取るのが一番有効な掃除方法だと段々分かったが、乾くのを待っていては足の踏み場もなくなってしまう。そこで、まず防水シート。それで何とか受け止めた。

 「口からごはん」の前の、首脇に穴を開けて昼夜問わず2時間おきにカテーテルで薬液や流動食を注ぎ込む当初の作戦は、ずっと続けるのは無理だった。息子が抗生剤のせいで下痢が止まらなかったためだ。1昨年8月7日の退院後、27日には首の穴が膿んでしまい、消毒後にチューブを改めて縫い付けたが、再度投入した抗生剤でまた下痢が悪化。9月10日に首の反対側に別の穴を開けて、その穴も1か月弱保つのが精いっぱいだった。

 息子の首からチューブを抜去したのが10月1日、その日から「口からごはん」生活に戻ったのだった。

 その日は「無事に手術済!よかったー」と手帳に書いてある。あとは、首脇の穴の傷も含めて、良くなるだけだと思っていた。10月27日に癌再発が確認されるまでの1か月弱が、今思うと本当にいとおしい時間だった。

 「口からごはん」に戻った息子。何しろ下顎の半分が無いのだ。食べるのは一苦労どころではない。下顎の右半分が無いと、残った左半分がさまよってしまって、どんどん中心線を越えて右側に偏ってきてしまう。そうすると、どうなるかというと、ぺこちゃんのようにベロが右側にぺろぺろ出てしまうことになって、本人(猫)はまっすぐ12時方向に舐めているつもりでも、2時方向にズレて舌が動くことになった。

 目の前のごはんに狙いを定めて舐めたいのに、それが口に入ってこないのだから、本人は混乱しただろう。見ていて手助けをしたいが、シリンジを使って口から入れようとしても、正面から迫る形になるので、抵抗してなかなかうまくいかなかった。「ごはんなんだよ~イイコで飲んで~」となだめなだめでも、限界があった。

 そうこうするうちに息子も盛大に跳ね上げながらごはんを口に流し込むことを覚えた。とても効率が悪いのは、ごはんの器回りにボタボタ垂れているごはんを見れば明らかだったが、それ以外に仕方ない。以前も書いたが、息子自身も顔などがごはんだらけになっていて、それが嫌で食後はプルプルするので、全部が周りにさらに跳ねてしまう。あああ!と「口拭きババア」が追いかけて濡れティッシュで顔を拭く毎日になった。

 そんな中での必需品が、鬼のように買ったティッシュペーパーと、あの防水シートだったわけですよ…。

 当初は、以前のキッチン近くに息子のごはんを置いていたが、そうするとごはんまみれになっている息子と床と壁がお出迎えする状態になり、靴下を犠牲にせずにはキッチンから出られなくなるので、息子専用のスペースを別に窓際に作り、そこにごはんを置くようにした。まず防水シートを何枚か広げ、その上に普通のペットシーツ大小を何枚か敷いて、ごはんを置く。ペットシーツはこまめに交換できたのが良かった。

 息子のように、口腔癌で顎の下半分をごっそり骨ごと切除する手術を、今となっては私は全くお勧めできない。もし、可能なら、表面に出てきていた腫瘍だけをこまめに切除する方法を選択したかった。作家の村山由佳さんが愛猫もみじちゃんの扁平上皮癌での闘病を『猫がいなけりゃ息もできない』(集英社)に詳述しているが、もみじちゃんはこまめにカット方式だったようだ。

 ペコちゃん状態の息子が、ごはんを跳ね上げながら一心に食べる様子が今も目に浮かぶ。一生懸命な様子はかすかな希望にもなったが、やっぱり食べにくい。癌のせいもあるだろうが、息子がどんどん痩せて行ったのも、食事をきちんと口から摂取できなかったからではないか、と思うのだ。

 とはいえ、まだ10月22日の段階では、3.1㎏あり、退院時3.55㎏からちょっと減ったぐらいの体重を、息子は保っていた。